みなさんおはようございます。第95回の放送はいかがでしたでしょうか。レストランでは、食事中によく「おいしいですか?」と声をかけられます。一瞬のことなので、びっくりしますし、返事をするのがたいへんですが、お店の方とのコミュニケーションですので、なるべく返事ができるようにしておきましょう。
きょうのまとめ
・美味しいですか? ・まずい時はどうする? ・食事を残す時は理由を述べる |
美味しいですか?
ドイツやオーストリアのレストランでは、高級店から気さくなお店に至るまで、かならず「美味しいですか?」と聞かれます。日本のように食後にシェフがわざわざ出てきて「今日のお味はいかがでしたでしょうか?」というような感じではありません。私達が食事中、口の中で料理をもぐもぐしている時に、ボーイさんが通りすがりに「美味しい?」って聞いてくるのです。
答え方は、場合によって「Mhhhhh」と言葉にならない時があります。音だけでGut!のまねをすることも。ラッキーにも口の中に何も入っていない時は、ドイツ語で答えましょう。次の様なやりとりになります。
Schmeckt? | 美味しいですか? |
とてもおいしいです。 | Sher gut! / Gut!/ Wunderbar! など |
Hat geschmekt?/Hat’s geschmeckt? | 美味しかったですか? |
とてもおいしいです。 | Sher gut! / Gut!/ Wunderbar! など |
相手がどのような聞き方をしたとしても、『シュメ』が聞こえたら『グート」を即座に返すのがコツです。
まずい時はどうする?
お料理がまずい時はどうしましょうか? 美味しいですか?と聞かれても首を軽く揺らすくらいでごまかす。そして二度と来ないという選択肢もあります。しかし一口食べてあまりにも何かおかしいので言いたい。そんな時は ZU を使って伝えましょう。昔ながらのいいレストランだと、お皿をキッチンへ持ち帰って検証してくれますが、大抵の場合は、日本人の口に合っていないだけかもしれません。
塩辛すぎる。 | Zu salzig! / Es ist mir zu salzig. |
甘すぎる。 | Zu süß! / Es ist mir zu süß. |
ぬるすぎる。 | Zu warm! |
食事を残す時は理由を述べる
ドイツ・オーストリアの多くのレストランは、日本に比べて量が多いように思います。どうしてもたくさん食べられない時は、注文する時に「デザートが美味しそうなので、メインは二人で半分ずつ食べたいけどできるかしら?」と相談にのってもらってください。また、日本と違うのは、頼んだものをみんなでお皿を交換しながら食べないということです。よほどラフな場所でない限り、自分が頼んだものは、自分で最後まで食べる。互いの味見はしない方がいいかもしれません。
さて、一人で食べられるだろうと思って注文したのに、予想外に量が多くて食べられない時もあります。私も土地勘がなくて一度大失敗したことがあります。
当時住んでいたウィーンは海が遠く、魚料理は肉料理に比べて量が少なかったのです。お魚のフライを注文しても15ユーロで魚フライが1切れとジャガイモが乗ってくる程度でした。ある時、ドイツの港町で、魚のスープ(7ユーロ)と魚のフライ(16ユーロ)を頼みました。もちろん注文する時に、ボーイさんに「これって多すぎない?大丈夫かしら?」と相談したのですが、お店の方は「大丈夫、大丈夫」ということだったのでお願いしました。
魚のスープはミニバケツのようなお椀に、何種類ものお魚が入っていて、とてもおいしかったのを覚えています。でも、それを食べ終わった時、すでにお腹いっぱいです。メインの量がウィーンで並みであることを祈りました。
ところが、うやうやしく大きな銀のお皿が出てきたのです。そうですビュッフェ料理に使われる、あの大きな銀皿です。そこになんと大きな魚の半身フライが5個も出てきたのです。
2個まで頑張りました。残しちゃいけないと思いながら頑張りましたが、どうしても3個目に手がでない。
ボーイさんだけではなく、料理長まで奥からのぞいています。自分で注文したのに食べられないのか?それともまずいのか?という気持ちなんです。ボーイさんは、前を通りすぎるたびに「美味しいか?」と何度も聞いてきます。
しかたなく私は何回目かの時に、ボーイさんを呼び止め「ものすごく美味しいです。でもね、海なしウィーンの値段感覚で頼んでしまったので、1個か2個しか出ないと思ってたのに5個も出てきてびっくりしたの。これって本当に一人前なの?もしかして私はグループ用を頼んじゃった?」と尋ねました。
「一人前ですよ。」
「こんなに食べるのですか?」
「ここはね、港で風が強いから、たくさん食べないと飛ばされてしまうんですよ。」とゼスチャー&ウィンク付きで解説。
私は「自分の料理がまずくて食べられないのか?」と心配してのぞいていた料理長に、くれぐれも味のせいじゃなくって、久しぶりの魚料理の豊富さに調子に乗ってしまったのと、ウィーンの感覚で頼んでしまったのでごめんなさいと伝えてもらうようにしました。そして本来なら残りを持ち帰るんだけど、今はホテルに泊まっているのでそれもできないことを伝えてほしいとお願いしました。
何においても、節約家であり、ムダが嫌いで、物を大切にするドイツ人。オーストリア人の感覚もそれに近いものがあります。ですから、自分で食べる量がわからないで注文することや、大量に残すことは考えられないという感覚です。
ですから、どうしても食べられない時は『理由をのべる』必要があるのです。
次回 第96回は「レストラン~お支払い」です。
写真 「グーラッシュ」2018年撮影