きょうのまとめ
・一緒に音楽をする人の口癖を早く盗む ・ピアノ科の人はたいへんそうでした |
一緒に音楽をする人の口癖を早く盗む
一緒に音楽を作る人、例えば先生、例えばピアニスト。そういう人の口癖を早くつかんでいくことで、ドイツ語のコミュニケーションをスムーズに取ることができます。
これは音楽を作ることだけではなく、仕事や友人関係の中でも言えることですね。
人って、その人によって良く使う言葉が違うんです。ですから、レッスン初日に「あなたがレッスンでよく使うドイツ語をここに書いてください。」と言って紙を渡したり、その単語をゆっくり録音してもらって、家に帰ってから調べておけば、次からとっても楽になります。
私は声楽専攻でしたが、だいたい先生の言っていることって「力を抜いてLocker」「初めからもう一度Noch einmal, von vorne!」「2小節前からvor zwei Takte」みたいなことしか言いません。それも文章としてではなく、大切なことだけを言うという感じです。つかんでしまえばすぐに聴き取れますし、理解できます。また、初めて出てくる言葉に関してはその時に尋ねればいいのです。
ピアノ科の人はたいへんそうでした
ただ、ピアノ科に入学した人たちは大変そうでした。というのも、とあるウィーンの国立音楽大学には、Klavierbau(ピアノ構造学)という授業があり、ピアノの構造について勉強する必要があり、「鍵盤」や「ピアノ線」だけではない、たいへん細かい部品の名前を覚えなければならず、日本人学生の誰かが毎年必ずその大変さにもがき苦しんでいたように思います。
そういう時に苦労するのは、
日本語でわからないものはドイツ語で覚えにくい
ということです。
ピアノを例にするのは難しいので、ケーキを例にしますが、ケーキについて素人の私たちはkuchenとTorteと区別がつきません。日本語にすれば、ケーキとトルテだからです。どっちもケーキの種類じゃないか?と思うのですが、ここにはちゃんとした区別があります。Kuchennはどちらかというと焼き菓子で、中に果物などが入っていても1種類の事が多いのです。トルテは層になっていて、材料の種類も多い。もちろんトルテは丸い。
日本語でしっかり区別できるだけの知識がなければ、ドイツ語で単語を聞いても、似たような物との区別ができないのです。そしてそれが似ていれば似ているほどわからなくなるのです。
山葵色とウグイス色と青柳と柳色の違いを外国人に説明せよって言ってもできないですよね。まずは、なぜ山葵なのか?ウグイスなのか?(緑でもないのに!)そこからスタートしなければ、細かいものは理解しづらいことがあります。言葉をもう一歩深く前に踏み込む時がやってくるのです。
ですので、ドイツ語を勉強しようと思われる時には、合わせて日本語もしっかりおやりになってください。
Man muss das Eisen schmieden, solange es heiß ist.
鉄は熱いうちに打て。
次回は、第290回「音楽留学する方へ④」