きょうのまとめ
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料理ができないと留学できない?
ちょっと大げさな話ですが、意外と本当なんです。
これまで日本で「私は毎日パンとお肉でいいわ。魚とか苦手だし、お米も食べなくても大丈夫。」と言っている人が留学するとどうなるでしょうか?
実は、日本にいて、食べていないようでもお昼のカツ丼屋の味噌汁や豆腐に醤油と鰹節をかけたものなど、どこか出汁のきいた食べ物を食べ、日本人の顔を見て、日本語を聞き、日本のテレビを見て、日本の風景を見ていると、パンやお肉などヨーロッパの香りがするものを取り入れたくなるのですが、ヨーロッパへ行けば、それとは真逆の日常がいきなり始まります。
海外旅行に行った人が、たった1週間の旅行なのに、ホテルでこっそりカップ麺を食べたり、高額な日本食料理店に行ったりするという話はよくあることです。
非常食だと思って持って行ったラーメンはあっという間に消えます。
いきなり、生活のほぼすべてがヨーロッパになってしまうのです。その上、慣れないドイツ語で必死に脳みそを使い、慣れない街に何度も何度も同じ場所を歩くことになります。ストレスと反動で日本の味を取り入れたくなるのはあたりまえなのです。実際私もそうでした。
今は、EUになり、ヨーロッパのどこでも日本食が気軽に手に入るようにはなりました。(まだまだ高額ですが。)しかし、昔は「お願いだから手紙をくれるなら、そのすき間に鰹節の小袋やお茶漬けの元を一袋でもいいから入れてくれればいいのに。」と思ったものです。
そんな留学生活でしぶとく生き抜いていくために、やはり食事は大切です。自分で料理ができないと外食することになります。美味しいけど胃が求めているものはこれじゃない。そういう感覚です。しかし日本食はまだまだ高価で気軽に毎日行けるような場所じゃない。そのうち精神的にストレスが溜まっていきます。早々と「海外は無理だ。」と帰国するのは、だいたい料理ができない人なのです。
キャンプでご飯を炊いたことがありますか? どんな具でもいいので味噌汁は作れますか? 炒め物はできますか? これだけでOKです。他にカレーができれば、ヨーロッパの材料で煮込み料理は作れます。
たったこれだけの経験があるのか、ないのかだけなんですが、異国で生き延びるってこういうことなんです。
30年も前の話ですが、初めて借りた家にはキッチン用品が何もなかったので、少ない所持金で買ったものは、鍋1・まな板1・皿1・フォーク1・ナイフ1・スプーン1・茶碗らしきもの1・コップ1これだけです。しばらくはアーミーナイフで料理していました。懐かしい思い出です。
Der Mensch lebt nicht vom Brot allein.
人はパンのみで生きるにあらず。聖書の言葉です。
私たち日本人もパンがあってもご飯がないとダメな時もあるんです。
Wir leben nicht nur vom Brot und von der Musik allein.
私たちはパンと音楽だけでは生きていけないのです。
次回は、第292回「どれくらいすぐ?
sofort/gleich/jetzt/bald/später/irgendwann」