第355回「場所によって違うパンとパンの耳」

きょうのまとめ

・場所によって違うパン(食卓パンの名称)

・パンの耳は217種類の名称がある

■場所によって違うパン

ドイツ語でパンの総称はBrotと言いますが、これは日本にはない大きなサイズのパンを意味します。アルプスの少女ハイジがタンスに隠していた白いパンはドイツでdas Brötchen, オーストリアではdie Semmelといいますが、それ以外にも地方においていくつか代表的なパンの名前があります。例えばオーストリアのヴァッハウではder Wachauerという美味しいパンがありますし、ベルリンではdie Schrippe,ドイツ西南部では、der Weck、Weckleなどと呼びます。そしてスイスではdas Mütschl です。もちろん形も少しずつ違うのですが、その地方における一番身近な食卓パンという感覚で捉えてください。


■パンの耳は217種類の名称がある

さて日本語ではパンの耳はパンの耳ですよね?他に何か呼び名がありましたでしょうか?パンの端?パンのへた?せいぜいこの程度だと思います。しかしドイツ語においてパンの耳はなんと217種類あるというのです。この場合のパンは食卓パンではなくスライスできる大きなパンの事を意味します。このパンの耳の名称をすべて調べたジャーナリストの方がいらっしゃるとか。そのうちのいくつかをご紹介しておきます。それにしても、とある新聞記事にも書かれていましたが、いったいどこから耳なのか、そしてそれを食べる人は損しているのか、いや、耳が好きな人もいて・・・謎は深まるばかりです。

これまでのドイツ語圏での生活の中で「パンの耳」について話をしたことがなかったので、ウィーンではパンの耳を何と言っているのか記憶にありません。ただ調べてみるとScherzelが多いようですし、言われてみれば「そういえば聞いたことがある単語だなぁ」と思い出します。

Kanten(おそらく一番通じる単語だと思います。)Knust、Kruste、Scherzel(オーストリア)、Riebele、Knäusle、Kuppe、Knörzchen、Ranft、Mürggel、Anschnitt など合計で217種類あると言われています。

そして地方による違いはあるものの、同じ地方でも各家庭ごとに言い方が違ったり、お父さんとお母さんと私とみんな呼び名が違うという人までいます。通常ドイツ語でEndstück vom Brot(パンの最後)と言いますが 人によってはAnfang vom Brot(パンの最初)だったりします。真面目なドイツ人「パンのミミ殺人事件」が起きるのではないかと心配しています。


次回は、第356回「慣用句~緑色の手」

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